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府学歯レポート

フッ化物の応用について(2011-05-31)

 日弁連より、科学的な検証もなく「フッ素の集団塗布に反対する意見書」が出されたことで、私たちフッ化物を専門に扱う人間として「えっ、いまさら。なぜ?」と思ってしまう先生が多いと思います。
しかし、これは一般市民がフッ化物について感じる不安の表現であろうと思うのです。
世界の先進国の中でも、日本は“フッ素”を不安とする人の多い国と聞きます。
そのため、むし歯予防にフッ化物の応用が一番遅れた国でもあります。
普及活動の不足を指摘する論文が沖縄県福祉保健部から出されていたので少し古いですが、簡単に紹介します。
平成15年3月に出された「沖縄県歯科保健計画」によると、県内学校、市教委に対してむし歯予防としてフッ化物を積極的に行うよう通達がなされており、その中にフッ化物についての記載で「フッ化物はう蝕予防に効果があると(市民)全体の79 %が考えているが、フッ化物塗布の経験が47 %で、う蝕予防のためのフッ化物の利用について十分に理解されていない状況である。
フッ化物はう蝕予防に効果があると考えているが、フッ化物塗布の経験者は少なかった。
また、フッ化物配合歯磨剤の使用が少ないなど、家庭でも利用可能なフッ化物についての適切な知識の獲得が必要となっている。
フッ化物塗布経験者のうち歯科医院で受けている割合が47 %と少なく、歯科医院でのフッ化物塗布実施について情報提供が十分行われることが必要である。」
市民のフッ化物についての知識が少ないか、漠然とした知識しか持ち合わせていないと指摘する。そして、フッ化物の応用を促進するためには、行政の支援体制の整備を行うことが必要で、私たち学校歯科医やかかりつけ歯科医としても、もっとフッ化物の効用・知識を積極的に発信し普及指導していくべきであると述べている。
学校歯科保健の普及、充実のためにも、学校保健委員会の設置が重要でその場で学校歯科医は強くこのことをアピールするよう求めている。
  さらに“フッ素”以外にも学校歯科保健について、“まとめ”として強い調子の予防対策が述べられている。
興味深いので採録した。

1 関係者が連携して歯科疾患の治療及び予防対策を図る
(1) かかりつけ歯科医を持ち、家庭との連携のもと、処置完了者率を上げる。
(2) う蝕の多発者や未処置歯のある者、CO、GOの児童生徒に対して、適切な指導管理を 図るため、秋の歯科健診を検討する。
(3) 咬合面の小窩裂溝が複雑な児童生徒には予防充填を推奨する。
(4) 第一大臼歯は幼稚園児にも萌出をみることから、母子保健との連携により、その重要性を認識し、予防に努めるよう普及啓発を図る。
(5) 個々にあった適切な歯磨き指導により歯肉炎の改善を図る。
(6) 給食後の歯磨きのための洗口場を整備し、歯磨きが十分行えるよう環境整備を図る。

2 普及啓発を強化する
(1) 児童生徒が、口腔の健康と全身の健康を関連づけて学習できるようなリーフレット等を作成する。
(2) 歯の衛生週間をはじめ、様々な機会に歯科保健知識の普及啓発を行う。
(3) 歯科保健指導技術の向上を図るため研修会を開催する。加えて、研修会へ参加しやすい条件整備をしていく。
(4) 家庭でのフッ化物配合歯磨剤の利用や、学校でのフッ化物導入についての講演会や説明会等の開催や、リーフレットを作成し、フッ化物応用を推進する。
(5) 学校歯科保健指導用の教材を充実させ、歯科保健活動の活性化を図る。
(6) 児童生徒等が口腔内を観察することにより、自己の口腔の問題点を発見し、解決していくことができるよう保健教育を行う。
(7) 「歯と口の健康に関する図画・ポスターコンクール」は児童生徒に口腔の健康に関心と 意識をもたせる有用な場と捉え、多くの学校が参加するよう働きかける。

3 スポーツ外傷に対する予防として、マウスガードの装着について普及啓発を図る

4 歯科保健推進体制を整備する
(1) 学校歯科保健を検討するには、学校保健委員会の果たす役割は大きい。このため学校関係者、PTA 、学校歯科医等の連携を強化し、学校保健委員会の開催を推進する。
(2) 「歯・口の健康つくり推進指定校」研究成果を報告する場の設定を図る。指定校以外にも独自でユニークな取り組みをしている学校の授業の実践発表、体験発表等の機会の確保を図る。」
 

私たちも、フッ化物について、「科学」の裏付けを持って普及活動に努めていきましょう。
これをお読みの先生方で、小児歯科学、口腔歯科衛生学を専門にされていた方々のご意見、科学としてのフッ素化合物のむし歯への応用についてのお話をお聞かせください。

(寺下邦彦)