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特集コーナー

私の本棚(食育編2)

寺下邦彦(府学歯常務理事)

☆「食育」って、あたらしい言葉?

 明治29年、石塚左玄と言う方がご自分の著書で「体育智育才育は即ち食育なり」と、用いたとのことだ。 広辞苑にものっていないし、ワープロでも一発変換しないものだから最近の造語だと思っていた。
「食育基本法」が平成17年に制定されて以降『食育』という言葉が使われている。
この法律は、食育を生きる上での基本であって智育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付ける。
 『食育』は、国民の食生活に関するほとんど、あらゆることを含んでいて、食品の生産、流通から、食物摂取と健康、栄養、食習慣について、さらには食品の廃棄ルートまでと、広範囲の分野に及ぶ。
そのため、あらゆる専門家が食育推進に力を注いでいる。
無論、このような内容は、私たちも習ってきているはずで、当時は家庭科であったり、保健体育、社会、理科と他の教科にわたっていたものだ。

☆「日本の食文化」世界無形文化遺産に・・・

○政府は、『食育』で、米食や日本型食生活を増やしていくような方向を考えている。
○さらに、ユネスコの世界文化遺産に「日本の食文化」の登録を目指すという。
 「洗練された和食文化の魅力を訴えるべき」と言うことらしい。
最近、ジャンクフード販売業者のマクドナルドが「食育」についての授業をホームページで展開している。 このことを、少々皮肉に取らえるものがいるようだ。

☆ 歯科医としての食育

 わざわざ書くまでもないことだが、 歯と口の健康は、全身の健康に通じる!
食事をすることは、歯・口を当然使うわけだから「栄養」を摂ろうにもよく噛んで、嚥下する。そして消化器官で吸収という大事な工程があってのこと。  そのため、食育では、「歯・口の働きについて」を指導するのが重要なことだと思う。
歯・口の健康を通して、身体の健康を守れることを知ってもらうことが、私たちの仕事だといえる。
 竹内純子先生は、静岡での全国学校歯科協議会のご自身の講演の中で、「私たちの体は口から食べたもので出来ています。 『食』は命のもと、元気や健康の源です。賢く『食』を選び、『食べ方』を学び自分の健康を自分で守る、食育は最良の予防医学です。」とのべられている。

☆ 学校歯科医のかかわり

食育のからみから、学校に栄養教諭をおくことが義務付けられた。
 そして、学校保健安全法では、学校歯科医も養護教諭らと連携して児童・生徒の指導、教育にあたることになっているため、従来の学校歯科健康診断を行っているだけでは済まなくなってきている。
 私たちは、児童・生徒への指導・教育として、専門とする“歯と口の健康を維持するための知識・方法”を伝授すればよいと考える。とはいえ、

「食 育」の2文字は、デカイ!範囲が広すぎる!

自分自身が知識を広げていく必要がある。  まずは、孫や子ども達の動きから思い当たるような、身近な部分から進めるのが親しみやすいだろう。というわけで、“栄養”という面から、ひとまずテキストを選んでみた。
『なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか?』  幕内 秀夫 著

なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか?

○子どもの好きな野菜
 1位 サツマイモ
 2位 枝豆
 3位 ジャガイモ
 4位 トウモロコシ
 5位 トマト

×子どもの嫌いな野菜
 1位 ピーマン
 2位 みずな
 3位 ナス
 4位 オクラ
 5位 ネギ
(カゴメ株式会社調べ)

野菜

子どもの野菜嫌いには訳がある

□ 「自己防衛力」の表れ
□ 本能的に、「緑のものを食べるとロクなことはない」と刷り込まれているためだろうと
 幕内氏は推論する。 緑色、におい、苦味の3つを備えたピーマンを嫌うのは本能的な危険回避であるという。

小さい胃袋には主食が最優先

□ 野菜の優先度は主食より低い
□ 大多数の子どもは『食べるべきもの』はちゃんと食べる
   野菜を無理やり食べさせようと頑張らなくてよい。
  「ご飯ばかり食べておかずを食べない」のは偏食じゃない!

「栄養バランスは忘れるべし」

50年前に家庭科で習ったのをおぼえてますか?
□ あの有名な「6つの基礎食品」、子どもの食事作りを難しくする提案は忘れよう。
  日本は世界一の長寿国。でも、子ども時代に『栄養バランス』を考えた食事をしてきた人は 一人もいないと断言する 。
  2005年、農林水産省が出した「食事のバランスガイド」も似たり寄ったり。
  こんなことを考えながら食事をとっていけば大変疲れることになる。

大人と子供は別の生き物>

□ 毎食しっかり食べるのは健康的? ・・・動きによって都度食べ方は変わる
□ 子どもの食事は簡単・・・ご飯とお味噌汁
□ ご飯と水が御馳走 ・・・ 幼い子供ほど水分が必要 。ご飯よりパンのほうが水分が少ない

子どもは味に敏感

自然の食材の味がわかる □ 味を感じる「味蕾(みらい)」が大人の倍あるらしい

心の栄養が必要なのは大人だけ>

□ 子どもの胃袋は小さいので午後にはちょっとしたおやつが必要で、おにぎりや、うどん、いもでよい
□ 子どもと大人を一緒にしない

野菜ジュースは野菜の代わりにならない

□ 野菜は噛んで食べよう!
□ ジュースは、野菜ではなくなっている

「まごはやさしい」・・・?体に良い食材 のこと

 ・・・豆類
 ・・・ごま
 ・・・わかめ
 ・・・野菜
 ・・・魚(小魚)
 ・・・シイタケ(きのこ)
 ・・・いも

「でも、これはおかずの話で主食ではないですよね 。子どもが食べないからと言っても気にしないで良いだんだん食べれるようになるから 」と幕内先生はおっしゃる。
終わりに、本の内容について簡単に触れさせていただきましたが、これ以上は本を読んでいただいて、すき間を埋めていただければ幸いです。
※竹内純子先生(日学歯理事/静岡県歯科医師会理事)には、掲載前に一読していただいたことを付記させていただき、お礼を申し上げます。